個人活動

学会発表『日本就職を視野に入れたオンライン日本語キャンプの可能性』6/19

先日、韓国日語日文学会(http://www.hanilhak.or.kr/ja/)の夏季学術大会で発表をしてきました。発表パートナーは協働学習やアクティブトランジションの活動、学生指導のこととなると、いつも喜んで一緒に活動してくれる二色博樹先生。発表内容がゼミの活動内容に関係するため、ゼミ関連の個人活動として報告する。

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発表内容は、永野ゼミの前身とも言える就職支援プログラムの青海進大学、日本IT課程で行った日本語キャンプの実践報告。昨年、研修生(4年生)の最後の集合研修として2020年11月にオンライン日本語キャンプ(2日間)を行った。学会発表では、その効果と課題から今後の可能性について探った。

※キャンプ実施の報道資料:釜山日報 http://www.busan.com/view/busan/view.php?code=2020120409514537268

発表タイトル

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この日本語キャンプの大きな特徴は、日本語キャンプを「オンライン(Zoom)」で行ったことと、「就職支援プログラム」に活用したこと。

通常、就職支援プログラムでは実務能力やスキル重視のカリキュラムがほとんどだが、日本企業で期待される「コミュニケーション能力」「チームワーク、協働力」という部分を養うことを目的として、日本語キャンプを実施した。さらに、コロナ禍の中、2020年3月からほぼ全ての研修をオンラインで実施した(夏に2週間の対面研修を行った以外は全て非対面オンラインで研修を行った)ところ、やはり研修生同士や教員とのコミュニケーションが希薄になり、お互いの状況も見えず、例年に比べ不安やモチベーションの低下が顕著に見られた。研修課程の後半、絶対的に人との関わりが減り、さまざまな弊害が出てきたことも考慮し、人との触れ合いの機会としてこのキャンプを企画した。

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キャンプ概要

キャンプでは、表1「キャンプの概要」にある目的のもと、チームに分かれて3つのワーク「メンバーに自己紹介」「無人島になに持ってく?」「コロナ時代を生きる私達の提案」を二日間で段階的に実施。最後のワークでは、チームで考えたビジネスアイディアまたはオンラインイベントの提案を発表した。詳しいワーク内容については、ここでは割愛する(今回の発表は論文にする予定なので、そちらを見ていただきたい)。

これらのワークを通して、学生たちがチームや自分自身についてどのように感じたのか、振り返りを行い、その内容からキャンプの効果や課題を調査した。調査項目は「チームはいいチームになったか?」「モチベーションは高まったか?」「コメント(学んだこと、感想、意見など)」の3つ。詳しい結果・考察は、論文を乞うご期待。

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以下は、「モチベーションは高まったか?」であるが、大部分の学生のモチベーション向上に寄与していることがわかる。その理由も興味深く、議論を目的としたワークやビジネス的観点での提案活動というワーク内容から、さまざまなアイディアや他の人の考えを知ることで、自分自身の考え方に良い影響を与えたという理由が1番多かった。

モチベーションは高まったか?

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また、「コメント」からは、「時間内に成果を出す経験」ができたことや「リーダーシップ、チーム活動に関する学び」が見られ、会社で生かせる大切な学びがこのキャンプからできたことがわかった。

コメント(学んだこと、気づいたこと、感想、意見など)

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結論は期待した通りだが、それがオンラインで実施できたということが、今回の大きな収穫である。そして、そこから、さまざまな可能性が広がった。

まとめ

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2019年から日本語を活用したプロジェクトワーク(協働学習)を就職支援プログラムに導入し、学生たちを見てきて思うことは、このような活動を1回ではなく2回経験した学生は、2回目で違うアクションや発想ができ、そこに成長のチャンスがあるということ。もちろん、チーム崩壊や不満、嫌な思いをするなどの問題は必ずどこかで起きる。それを必要な経験として捉えるためにも、繰り返すことが重要だと感じる。

実は、このオンライン日本語キャンプの可能性を実感したこと、そして、繰り返しこのようなワーク(経験)を行うことが断然有利であると確信したことから、昨年の3年生(現在の永野ゼミ4年生のメンバー)に日本語キャンプを実施。そして、就職支援プログラムがなくなってからも、同様の日本語ワークを永野ゼミで継続している。

コロナで日本就職も競争が激しくなる中で、最終選考に残った学生の中から1人を選ぶとき、選ばれる1人はどのような学生だろうか。そこに正解はないが、同じようなスキルを持っていれば、その人自身の人間力が問われる。就職だけではない、早いうちに苦い思いや失敗、葛藤を重ね、またトライすることで自分が大きくなり、不透明な世界でも前に進む力をつけていくのではないか。

ここは、みんなの安全地帯。

この日本語ワークは、若者の成長と幸せをサポートしたいという私自身のライフワークとして、これからも継続していくつもりだ。

永野